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1.発達障害関連 3.ライフハック(仕事・健康・お金)

No.73(仕事)発達障害で雇い止めされる?

投稿日:2021-06-18 更新日:

近年「大人の発達障害」というワードの認知度が上がった事で、会社で休職する従業員の中に一定程度本人に自覚がなかった発達障害を知り、病院に受診・診断されるケースが増えているそうです。また病院が実施する復職支援プログラムの中にも発達障害の傾向のある方が結構6~7割いるそうです。ただ「大人の発達障害」を持っている方は復職後も作業内容やコミュニケーションの問題からトラブルに遭いやすく、鬱が再発し休職してしまうケースが多いそうです。今回は「大人の発達障害」と私の会社で実例を挙げた紹介をしようと思います。

「大人の発達障害」とは?

「発達障害」は、脳機能に偏りがあり「他人とのコミュニケーションが苦手」「不注意によるミスや忘れ物が多い」といった特有の困りごとがあります。近年では幼少期(早い子は3歳児検診くらいから)に家族なり学校が気づき必要なケア(療育・支援学級など)を受けて成人までに集団ルールや苦手の克服の仕方を学習していきます。
ところが障害の程度が軽い場合は、「少し変わったところがある人だな」程度の印象にとどまり本人の特性の困りごとも比較的軽く済むので、本人も発達障害を自覚しないまま成長し、社会に出ます。そして社会人として働くようになって初めて、「苦手なこと」「困りごと」に直面し、対処方法を知らないまま「自分はどんなに頑張ってもできないダメ人間だ」などと自己肯定感が下がり鬱など二次障害が発症し働けなくなっていくのです。
本人は病院に通院し服薬をするものの、鬱などの二次障害の根本原因は職場環境ではなく、脳機能(発達障害)なので、発達障害自体は服薬治療で改善できません。そのため復職しても再休職しやすいのです。また「大人の発達障害」は医療機関では発達障害の診断基準に満たないグレーゾーン(傾向あり)と判断されます。

私の会社の事例

私は人事部署で働いているのですが、最近会社のある部門から「ある再雇用(クローズ就労)の契約社員に問題行動があるのですが」という相談がありました。その社員は最近周りとのコミュニケーションがうまくいかない上、仕事でもやる気や成果が低下している、との上司評価でした。部署の希望は
①契約を打ち切りたい
②それが無理なら勤務時間と業務を変えて給料を下げたい
という内容でした。問題行動というのは以下のとおりです。

1.業務内容の変更に応じない
2.清潔感への意識が希薄
3.周囲とのコミュニケーションを避ける(仕事に支障をきたすレベルで)

1.については、部署の人数が減ったため業員の担当業務の内容をそれぞれ少し増やしたところ、その人だけが「今までと同じ業務じゃないと嫌です」と上司に苦情を言ったそうです。上司は「増えたとはいえこなせない水準ではなくむしろ再雇用の分配慮したはずなのに、先輩風をふかして反対しているだけではないのか?」と思ったそうです。実際本人もそれまでは定時に帰っていて残業もしたことがなく忙しい感じに見えなかったそうです。
上司はこれを受け入れず「皆忙しい中で業務を分担して増やしているんです。一人だけ特別扱いはできません。仕事なのでやってください」と言ったところと頻繁にトイレにこもって30分~1時間出てこなくなったり、それを上司が指摘すると会社の産業医室に駆け込んで「トイレの利用制限を押し付けられています」と相談し、こういった経過があったせいか以降はそれまでできていた業務すら期日に終わらないようになってしまい上司も困ってしまったそうです。
本来取ればよかった解決法
発達障害の中でもASDは予定にない臨機応変な対応を嫌がる傾向があり、このような業務変更には不安や拒否感を示したり、それを受け入れられないとパニックを起こす人もいます。業務内容の追加をするときに「事前のマニュアルの用意」と「変更前と比べた変更後の業務の負担の増加の見通し」を示し不安感を減らす対応をとると本人の受け入れ方も違ったかもしれません。

2.については、上司の愚痴の中で「体臭か加齢臭か分からないけど、匂いで女性職員から苦情多いんだよね。スーツの襟にもフケみたいな白い粉ついているし」というのが気になりました。
本来取ればよかった解決法
発達障害の人の中には、①体を清潔にすること、②身だしなみを整えることに関心が低く、他人にどう見られようと気にしない(自分以外の関心が希薄)な方がいます。ただ本人には最低限の努力はしてほしかったなと思いました。毎日風呂に入って体と髪を洗う。ひげは剃る。髪は整えて出勤するです。人に好かれる方法はなくても嫌われない方法はあるのです。また職場としても別室に呼び出して人前で恥をかかせないように配慮した上で清潔感の指摘を客観的に指摘すればもっと本人も意識したのかもしれません。

3.については、本人は箱ティッシュを机の前や横に積み上げてバリケードを作り何をしているのか見えないようにして仕事をするようになったのだそうです。これも周囲に「何をしているのか?サボっているのでは?」という印象を持たれていたようです。
本来取ればよかった解決法
状況が分からないのですが、ひょっとすると本人なりの見た目や匂いが周りに伝わらないようにする配慮していたのかもしれません。また発達障害には視覚や聴覚に過敏な人が多いので明るさや人や電話口の声を遮断しようとしていたのかもしれません。上司も別室に呼び出して理由を聞いてあげてもよかったのかもしれないですね。

という事で、結果として解決法はどれも取れなかったのですが、発達障害のある私には「大人の発達障害」として引っかかる所が複数ありました。そして他人にとってはそれほど負荷の高くない業務や職場環境であっても本人が努力ではできない何かがありストレスを感じてしまったのかなと。それくらい「大人の発達障害」は会社で浮いたり問題になる人は傾向が高いです。ただこの時点で本人は発達障害を自覚していなかったと思われるので(上司にも産業医にも相談なし)こちらからそんな声掛けをすることもできなかったのですが。

結論(契約打ち切りはできなかった)

会社で契約している弁護士に相談したところ「裁判で訴えられると負ける可能性が高いので雇用は継続しましょう」という結論になりました。というのも日本の労働法では、従業員を解雇(または一定期間働いた人の契約を打ち切る)時には以下の点に考慮する必要があるからです。
①人員削減の必要性(会社の経営が悪化しているのか?)
②解雇回避努力(他部署への異動や他の業務を割り当てる余地はあるか?)
③手続きの妥当性(どういう社内ルールで解雇するのか?)
①は人員削減をしなければ存続が危ぶまれるくらいの経営状況ではない、②は本人ができる業務を与えるなど企業として譲歩できる部分があるのでは?③は企業が解雇と判断する根拠が見た目やバリケードに対する反感のような主観的なもので判断されるような体系になっていないか?、が問題だったということです。今回はいずれも厳しいという内容でした。
ただ本人の言い分だけ聞いて働いてもらうと、他の従業員のモチベーションも下げることになるのは明らかなので、産業医に相談して、本人の業務負荷を考慮しを踏まえて労働時間(1日6時間→4時間勤務)と職務(従来のパソコンを使う事務処理から、社内メール便の配送やコピーのような軽微な庶務に変更)を変えることで上司も納得し、契約内容を変更しました。月給は労働時間が減った分に応じて減額されることになりました。

反省点

今回のケースは人事に相談があった時点で職場の人間関係を完全にこじらせてしまいましたが問題行動を聞いていると、自分のルーティンを崩される事を嫌い、叶わないとパニックになる。自分が他人からどう見られるかという事にあまり関心がない点については
周囲が気づきもっと早く相談があればこじらせる前に助言できたのに、ということです。
もちろん本人の努力も必要でした。自分なりのこだわりがあるにしても周囲を不快にさせないような対応ができていれば周りの目ももう少し優しかったでしょう。社会という集団で生きていくには味方や友達を増やすため礼儀やマナーを身に付けるといった、集団で悪目立ちしないのが発達障害のライフハックなのです。あまり人目を気にして生きるとしんどいですが、例えばオシャレや香りに関心が低くても「●●の香りがする自分が好き」みたいな自己肯定感を持つ訓練だと思ってチャレンジすることが楽しく生きるための工夫になるのではないかと思います。

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