コミュニケーション改善に役立つ書籍です。発達障害に特化したものと一般向けに書かれたものの2種類に分けて紹介します。
1.発達障害に特化
発達障害関係はADHD(場の空気を読むのに難はあるが、共感力はあるので人に合わせた会話はある程度できる)よりは、ASD(基本的に自分の関心が中心で、人との共感力が薄く自分の論理で人と話をしてしまう)向きの本が多い印象です。
(1)発達障害の人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本(吉濱ツトム 実務教育出版)
同じ状況で定型発達と異なる認知や言動をしてしまいがちなのが発達障害者なのですが、なぜ異なるのか原因を詳しく解説してくれます。ASDの症例が多いですが、ADHDの方にも参考になる部分は多い本です。著者の主張が「定型発達に近づけるよう脳を鍛えましょう」なので読んで息苦しさを感じるかもしれませんが、実用性はあると思います。
(2)大人の自閉症スペクトラムのためのコミュニケーション·トレーニング·ワークブック(星和書店)
大人の発達障害に定評のある昭和大学のチームが作ったワークブックです。アンガーマネジメントとか、かなり専門的な項目も入っていて、質問に答える形式で〜ワークブックだから書くスペースがあります〜自分の思うところを書いて、時々見直してみる、心理士に見せてみる、等自分を客観的に振り返ることができる本です。
(3)よけいなひと事を好かれるセリフに変える言い換え辞典(大野萌 サンマーク出版)
会社や家庭など日常生活の各場面で表現の幅が広がる本です。何気なく発している言葉のひとつひとつが相手にどんな影響与えているのかを知り、自分のお願いしたいことを相手に納得して受け入れもらえるような言葉の選び方、相手を不快にさせないようにするにはどう伝えるべきかを知りたい方にお勧めです。
(4)写真で教えるソーシャル・スキル・アルバム<青年期編>自閉症のある人に教えるコミュニケーション、交友関係、学校・職場対応(明石書店)
自閉症のある高校生以上の人たちが適切な社会的言動を身につけるのに役立つ本です。日常的な行動のよい例とよくない例の写真に、実際に口にすることばと口にはしない心の中のことばを吹き出しで挿入する読みやすさが工夫された本です。
(5)大人のアスペルガーのためのソーシャルスキルガイド
主に十代後半から社会人向けの生活ガイド。学校や職場での人との接し方、挨拶や会話の仕方はもちろん、手紙の書き方、電話のかけ方、家族や友人へのカミングアウト、面接、授業、サークル、居酒屋、パーティー、冠婚葬祭など、具体的な場面に合わせて解説がされています。
(6)
大人のアスペルガー ビジネスシーン別 会話メソッド(主婦の友社)
人づきあいが苦手で、冗談が通じず、思いついてすぐ行動するが挫折する大人の発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD)〉の人のための不安を具体的に解消し、 コミュ力を身につけるための状況メソッド集です。相手との距離感を間違えない・ミス・失敗をしたときの対応・ お礼の言葉を言う・セクハラ、パワハラに気をつける・電話のかけ方・受け方メールの送り方など分かりやすく説明されています。
2.お子さん向け本
親が子供にすべてを教育しようとしても「親子」ゆえの限界があります。そういうときはこういう分かりやすく客観的にポイントを伝えられる本を使って楽しく教えてあげるのがよいと思います。
(1)マンガでわかるよのなかのルール(横山浩之 小学館)
小学校低学年向けで4コマ漫画が中心の構成なので、文章だけの本が苦手な子も楽しく読めます。生活面やお友達とのやりとりを学んでいく中で、「この子に似てる子クラスにいるよ」とか「これダメだよねぇとか」、なんとなく日頃の自分自身や身の回りの出来事ににあてはめて理解できます。「普通に考えたらわかるでしょ・・・」と思ってしまうようなこともイマイチ理解できないお子さんにお勧めの本。
(2)みんなのためのルールブックあたりまえだけど、とても大切なこと(R.クラーク 草思社)
自分のルールが他人と違うというのは幼少期の子供ほど意識しにくく、親の言葉も感情的に受け入れにくいものです。この本は小学生向けでルビもふってあるので読みやすく、平易な言葉とわかりやすいイラストで学校生活やみんなで仲良く過ごすための基本的なルールがまとまっています。小学校低学年の子に適した内容です。