過去に障害年金の記事を書いてきましたが、それ以外に役立つお金関係の記事を書こうと思いました。発達障害で悩む人の中には、仕事を失ったりシングル家庭、親の世話で経済的に厳しい方もいます。普段笑って生きている人でも仕事や家庭に向き合うと「先立つもの」のことを考えると深刻になることも多いのではないでしょうか?この記事では生活で必要なお金、制度で得られるお金について紹介していこうと思います。
今回説明する内容のもくじ
項目 | 支出(減るお金) | 収入(増えるお金) |
1.保険 | 〇 | |
2.高齢の親 | 〇 | |
3.税金 | 〇 | 〇 |
4.年金 | 〇 | 〇 |
5.失業保険 | 〇 | |
6.生活保護 | 〇 | |
7.その他セーフティネット | 〇 |
1.保険
生命保険は宝くじ
保険というのは何となく手厚くしといた方がいいなと思っている人は多いと思うのですが、保険って(とても低い確率だけど)万一の状況が来たらお金がもらえるという宝くじのようなもので、その為に入るものということを覚えておきましょう。メリットデメリットは以下のとおりです。
区分 | 概要 | 例 |
メリット | 多額の金額を「短期で」用意可能 | 子どもが社会に出るまでの教育資金2,000万円を毎月4万円の貯金だと40年以上…現実的ではない。その半額の2万円の保険の掛け金で給付条件を満たす(重篤な後遺症や死亡時)に即時に支払われる。 |
デメリット | 保険料負担が継続的に発生する | 以下の場合は保険料が高くなりがち。加入後に、保険料負担が家計を圧迫し解約を余儀なくされることもありえる。 ・多額の保障額を確保したい場合 ・貯蓄型の保険に加入した場合 ・年齢が高い場合 ・健康に不安がある場合 |
備えとはいえ、日本人は保険には並々ならぬ思いをもって入る国民だそうで、生命保険文化センターの生命保険に関する全国実態調査(H30年度)によると1世帯当たり平均保険料支出は28.1万円、保険金額は死亡保険で1,406万円でした。結構なお金を給付条件が整う時まで賭け続けるわけです。
1,406万円÷28.1万円=50…50年以内でお亡くなりになればトントンかプラス、それ以上生きるとマイナスという計算になります。定年まで働くって仮に大学を浪人留年なしで卒業し新卒で65歳まで働くと33年なので、悪くない保障にはなるのでしょう。ただし日本人の平均寿命は2019年で男81.4歳、女87.4歳です。ここをどう見るかでしょうね。
実はただで入っている保険もある
ところで「保険」という名前ではありませんが、旦那さんが亡くなった場合に遺された家族がもらえるお金があるってご存じですか?その名は遺族年金です。これは毎月納めている国民年金や厚生年金が掛け金となっていて、内訳はこんな感じです。
この仕組みでもらえるお金は以下のとおりです。*日本年金機構の2020年度版
死亡した夫が会社員で厚生年金に入っていた場合の奥さんがが受け取れる遺族年金シミュレーションは以下のとおりです。月給が25万円の夫でも累計で7年目で1千万円、13年目で2千万円、20年目で3千万円の年金を受け取れることになります。下の子が18歳になった以降は遺族基礎年金はでませんが、それ以降も妻は64歳になるまで中高齢寡婦年金を受け取れます。
月給25万円の夫が亡くなっても20年間で3千万円の年金が入る制度が日本にはあるのです。これでも別途民間の保険に入る必要があるでしょうか?検討する価値はありそうです。
2.高齢の親(扶養/介護/葬式/相続)
最初は介護だけにしようと思っていたのですが、介護にありがちな高齢の親問題でこれらをセットにして説明したいと思います。
親を扶養に入れる
皆さん確定申告の所得控除で保険料(生命保険・地震保険)控除や配偶者控除の欄に記入したことありますか?あれは所得から控除(差引く)ことであなたの年収を低くすることで所得税や住民税を下げる節税方法の1つです。しかしそれ以外にも65歳以上のご両親に協力してもらって合法的に節税する方法があるのです。それが扶養控除です。
上の表は何を意味しているかと言うと330万円までの収入の場合、収入から110万円が控除できますよ、ということです。仮にあなたのご両親が年金生活でそれぞれ年金額が平均的な年金受給額だとすると・・・
父親の所得は63万円ですが、母親の所得は0円(年金控除が年金額を上回るとマイナスではなく0円になります)扶養に入れるのは所得が48万円以下で生計を一にしている16歳以上の家族です。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。 生活費、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。つまりあなたが母親に生活費を入れるなどしていれば、両親が別居していようと母親を扶養家族にすることができるのです。
まずこれで扶養家族が増えた分、所得税と住民税を節税できるのです。なお本ケースでは父親の扶養家族の母親をあなたの扶養家族にするだけなので、一族(あなたの家庭とあなたの両親)トータルで見るとメリットがないかもしれません(あなたが得して父親が損する)。しかし仮に父親が亡くなって母親だけになったときに扶養するメリットがありそうです。
ちなみに、扶養に入ると健康保険も対象になりますが、健康保険上の扶養は以下のとおりです。所得ではなく収入(控除前の金額)になっている点に注意です。
対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合 対象者の年間収入が130万円未満(例外あり)、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない |
本当は税金や
3.税金
「税金」と聞いたとき、なぜか私たちの頭の中では、「税金=払いたくない」というイメージが湧くものです。でも税金は損しないためのに知っておくべき大事な知識です。
サラリーマンの税金は自営業者と違い勤め先から支払われる毎月の給料から、自動的に税金が差し引かれています。つまり会社があなたの税金の徴収を代行しているのです。これを「源泉徴収」と呼んでいます。1年間の金額等を証明したものを「源泉徴収票」といって、皆さん年末もしくは年明けに会社からもらっていると思います。
しかしサラリーマンも節税することは可能です。お勧めのホームページはリンク先こちらです。特に以下の4つはやっておいた方がお得です。やらなくても損はしませんが、税金を差し
1 ふるさと納税(任意の自治体に対して寄付をすることで、その全額から2,000円を控除した額が、その年の所得税や翌年の住民税から差し引かれる。)
2 iDeCo(毎月1万2,000~2万3,000円の掛金をiDeCoに拠出が可能。この掛金が所得控除の対象となり、所得額から差し引かれる。)
3 医療費控除/セルフメディケーション税制(年間の医療費合計が10万円(年収200万円未満の場合、年収の5%)を超えた場合に、超えた金額が所得額から差し引かれる)
4 生命保険料控除等(1以下4種類の保険に加入している人は、所得税が差し引かれる①生命保険②介護医療保険③個人年金保険④地震保険)
ちなみにリンク先にも書いてありますが「例えば、年間5万円しか所得税を支払っていない人が、10万円分の所得税の控除を受けようとしても、金額を引ききることができない。こうなると、せっかくの節税対策も意味をなさなくなってしまう」ので気を付けてくださいね。
あと持ち家のある人は住宅ローン控除、専業主婦や社会人になるまでの子や年金暮らしの親など扶養家族のいる人は扶養控除もあるのでそれぞれしっかり節税してくださいね。
4.年金(遺族年金は1.の保険に記載しているのでご覧ください)
年金についてはこちらのサイトが参考になります。年金の種類(老齢年金・遺族年金・障害年金)と分かりそうで分からない国民年金・厚生年金の違い、受給要件・受給額・申請方法(障害年金)についてイラスト入りで分かりやすく書かれているので、参考になります。特に受給要件については加入期間が一定ないと掛けている期間があっても年金を受給できなくなるので気を付けてください。
例えば国民年金では、老後の年金(老齢基礎年金)の年金額を決める要素として(①加入資格期間/②保険料の納付済期間)の2点があります。「加入資格期間」とは、保険料をきちんと納付した期間(保険料納付済期間)に加え、「免除」や「納付猶予」が承認された期間も含みます。「未納」の期間は含まれないので注意してください。この期間が10年に満たないと年金は受給できません。②の納付済み期間の事をいうと、国民年金については40年間納付すると、原則として65歳から満額の老齢基礎年金(78万100円)を受給できます。
免除・納付猶予・未納のいずれであっても保険料を支払っていない期間があると、その期間分については減額されます。「免除」も「納付猶予」も保険料を納めなくて良いという点では同じですが、両者には違いがあります。以下ではこれらの違いについて解説します。
「免除」とは?
前年の所得が一定額以下であることなどの理由で、国民年金の保険料を納めることが経済的に困難な場合に利用できるのが「保険料免除制度」です。審査の対象となるのは「本人・世帯主・配偶者」の所得で、承認されると保険料の納付が免除されます。
保険料の支払いが免除されている期間は加入資格期間に算入されますが、「追納」(10年以内であれば後から納付できます)をしない限り、老齢年金の金額が減ります。免除のされ方は全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4とおりで、追納をしなかった場合、免除されている期間について受け取れる年金額はそれぞれ以下のようになります。免除の場合はゼロにならないのがポイントです。

そのほかにも以下のような特例措置があり、それぞれ保険料の免除または納付猶予を受けることができます。
・学生納付特例
・法定免除(生活保護を受けている方など)
・産前産後期間の免除
・災害等により被災し一定規模の損害を受けた方の免除
・配偶者からの暴力を受けた方の特例免除
5.失業保険
失業保険(失業給付)は雇用保険という制度で、会社を退職した後、再就職するまでに貰えるお金です。これを分かりやすく説明した上、少しでもお得にもらえる情報が紹介されたサイトはこちらです。特に近年ブラック企業やブラック職場という労働者にとってよろしくない問題あり(法令違反、パワハラ・セクハラが横行するなど)の働き方の結果退職を余儀なくされる例も増えているので、そういうときは「会社都合」で辞められるよう工夫しましょう。