ADHDのライフハックでは10代の若者や20代前半で社会に出たての方も多く参加しています。その中で「親に怒鳴られた」「親に理解されない」という悩みをちらほら聞きます。未成年の時代に家で不適切な言動をして叱られる、社会経験がないことで自分の意見の甘さを指摘される、というのは定型発達(発達障害ではない人)も含めある話です。ただ発達障害の彼らの「怒鳴られた」「理解されない」というのは精神的に深い傷というか心の悲鳴のように聞こえたので、今回の記事を書いてみようと思いました。
1.叱ると怒るの違い
私の話ですが、新人時代に会議資料に作っていたところ、指導係の先輩に「これじゃ全然だめだ。もっと伝えたいことを明確に書かないと。数字の間違いも多いし。もう会議まで時間がないのに作業時間の無駄だよ。もういい俺がやるから。」と言われました。(実際ミスも多くて酷い内容の出来でした…)
この一言で私は先輩に「また怒られるのではないか?」と常に委縮してしまい、会議資料を作ってチェックを受けるたびに何を言われるか緊張してしまいました。(実際同じようにダメ出しを受けるときもありました。毎回ではありませんでしたが)後日の飲み会でその先輩は「今後同じような事をしないように叱った」と言ってくれたのですが…その先輩への苦手意識は消えることがありませんでした。
冒頭の「怒鳴られた」「理解されない」もおそらく「怒られた」と受け止めたのではないかなと推測します。そもそも叱ると怒るの違いはこうではないでしょうか?
言葉 | 意味(辞書) | 解釈(とり八) |
叱る | 非を指摘・説明し、厳しく注意する。 | 相手を思いやり指導または諫(いさ)める。 |
怒る | 腹をたてる。興奮して気を荒だてる。 | 自分の高ぶった感情を相手にぶつける。 |
叱るには優しさがあり、怒るには優しさがない、って感じでしょうか?仮に自分の子供がしてはいけないことをした(ふざけた)場合にただ「バカ、何やってんだ!」と言うのはは怒っているだけで相手への優しさがありません。「周りの人に迷惑がかかるからダメ」と言うべきなのでしょうね。
2.叱ると怒るの使い分けができないとどうなるか?
仮にこの2つの使い分けができないとどうなるか?子供のことも例に出しながら説明します。
1.話を理解できない(または曲解する)
→大きな声で怒鳴れば大人も子供もその場はその行為をやめるかもしれませんが、言われたことの意味や理由が分からないので同じことをまたやると思います(当たり前ですね)。
特に男の子を持つお母さんが気を付けなければいけないのは、未就学の段階では男の子は同い年の女の子より音域の聞き取りが遅いため、女性の高い声を「そもそも聞き取りにくい」という特性があることに注意です。なので男の子って本当に親の言うこと聞かないっていうお母さんの気持ちはある意味的が外れた場合も結構あるのです。「聞けていない」可能性があるわけですから。聞かないと思ったら、低い声でゆっくり叱りましょう。
2.人に無関心になる
「行儀よくさせよう」「一人前になってもらおう」と思えば思うほど、感情を出して「怒って」指導してしまいがちです。これが延々と続くと「また訳の分からんことを言ってる」「始まったよ、うるさいのが」「もう黙っていよう」と意思疎通を諦めるようになります。
これが「目の前の面倒が終わるまで感情をシャットアウトしよう」という態度につながり、ときにアドバイスや前向きにさせるための「優しさのある叱り」でさえ、無関心になってしまうのではないでしょうか?
3.失敗を隠すようになる
これは私の体験談ですが、先輩チェックを受け終わった資料で会議の始まる前に数字のミスに気付いたことがあります。でもそれを申告すると「なんで事前にしっかり調べないんだ」と怒られると思い、言えませんでした。こういうことが何回かありました。時には会議中に他の参加者に指摘され、時にはスルーされましたが。とにかく祈るような気持ちで自分のミスがばれないように息を殺していたことを思い出します。
でもこれって仕事をしている全員にとって損失です。情報が誤ったまま議論する会議に参加した人の人件費が無駄に使われているわけですから。本当にそのときの自分に教えてあげたいです。。。過去話に没頭してしまいましたが、要は人は怒られすぎると失敗を隠すようになると思うのです。そして失敗からの経験を学ぶ機会も失われます。人としての成長を考えると大きなマイナスです。
最後に怒られた当事者として
怒られた当事者はどうすればいいのでしょうか?
・親に怒鳴られまくったから怯え癖が付いたじゃないか!
・先輩がチクチク嫌味を言うから自分に自信が持てなくなった!
という気持ちはごもっともです。でもこれを前向きに生かすのがよい人生の送り方かなと思います。例えば
・「同じような接し方を他人や子供にさせまい」という反面教師にしよう
・怒られた事実を「叱り」の視点から前向きに受け止めよう
-自分は調子に乗りすぎるところを直さなければならなかったんだ。
-ミスの有無をチェックせずに物事を進めるところを反省すべきだったんだ
というわけで、叱ると怒るについて自省を含めて書いてみました。