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2思考のクセ・他者理解

No.57(思考のクセ)嫌な記憶の消し方

投稿日:2020-08-28 更新日:

過去の嫌な思い出を忘れられない。そんな悩みはないでしょうか?

・幼稚園の時にガキ大将に仲良しの子に無理やりケンカをするよう命令され従った。
・小学校のときにやりたくもない芸能人のふりを給食の時間に皆の前でさせられた。
・中学校のときに変なあだ名を付けられても反論できなかった。
・高校生のときに何かとネチネチ文句を言って手を出してくる相手に抵抗できなかった。
・社会人になって事細かく口を出し言った通りにしないと罵声を浴びせる上司がいた。

こういったことが夜寝ているときや、昼休みの時間や電車に乗っているとき、家で当時の状況と似たような場面のドラマを見ているときなど、頻繁に心に浮かび上がってきて、その時の恐怖感やみじめな気持ちにとらわれるのです。こういう記憶の再現を消すにはどうすればいいのか?

黒歴史どころか闇歴史と言えばしっくり来るのか?自己肯定感はダダ下がりですし、たまらなくみじめで不快な気持ちになります。対処法を知るために色んな本を読んで気づいたことを書いてみたいと思います。

嫌な記憶ほど消えない理由

1.忘れようとするから

まず1つ目は、「忘れようとするから」です。人の脳は「忘れよう」「~てはいけない」と感じた記憶ほどイメージが焼き付いて忘れにくくなる事が心理学の実験で証明されています。有名なのはこれです。

シロクマ実験

1.「シロクマについて考えてください」と指示するか、「シロクマについて決して考えないでください」と指示をする
2.その後5分間を指示の通り過ごしてもらう

そして参加者を、
①最初にシロクマについて考え、次に考えないようにする
②最初にシロクマについて考えないようにし、次に考えるようにする

に分けてみると…②のグループの方がシロクマのことを考えてしまう、という結果が出ています。この実験から人間の「(なぜか分からないけど)考えるなと注意を受けるほどそのことを考えてしまう傾向」はシロクマ効果と呼ばれています。逆にこの実験のネタばらしをすると、被験者は「なぁんだ、そういうことか」と安心して考えなくなるんですけどね。人間ってこういう単純そうで複雑な生き物なのです。

2.繰り返し思い出してしまうから

学校のテストや受験対策のために英単語や用語を暗記したいとき、どうやって記憶しますか?「何度も紙に書き出す」「同じ単語をつぶやく」という対策ではないでしょうか。そう、人は同じ行動を繰り返すことで情報を記憶に保持しやすくなるんです。このことを心理学ではリハーサルと言います。

厄介なのは嫌な記憶についてもでリハーサルをしてしまうことです。忘れようとする努力が逆に嫌な記憶をリハーサルをする結果になってしまうのです。

3.脳がストレスを受けるから

脳はストレスを受けると、嫌な記憶を「過去」にできなくなります。PTSDによるフラッシュバックなどもこれが原因と言われています。

感情を伴う記憶の保持は、主に脳の海馬と扁桃体が担っています。海馬はエピソード記憶を司り、扁桃体は不安や恐怖を感じる部分で、この海馬と偏桃体の部位は隣接しています。

そしてストレスを受けた後の反応は海馬はストレスを受けると機能が低下し、扁桃体は機能を高めることが知られています。つまり大きなストレスを受けると、以下のような状態なります。

①海馬の働きが悪くなって記憶力が低下し、 現在と過去の区別がつかなくなる

②扁桃体が活性化して強い感情を感じ、まるで「今」それを経験している感覚になる

こうして嫌な記憶は過去の出来事のはずなのに、「今」の記憶のように感じてしまうのです。

 

嫌な記憶を忘れたい人は?

とはいえ、嫌な記憶をいつも身近に感じたまま生きるのは辛いことです。どうすれば忘れられるのでしょうか?

そもそも忘れるとは?

一般的に忘れると聞くと「記憶が消え去る」事だと思うかもしれません。しかし心理学や脳科学の分野では様々な実験により「一度脳で処理された情報は消えることはない」と結論付けられています。嫌な記憶ってずっと残るの?と不安になる方がいるかもしれませんがご安心を。忘れるための方法論はあるのです。それは以下の2つです。

①思い出せない

②新しい記憶で上書する

①の思い出そうとしても「思い出せない」状態を心理学では「検索失敗」と呼びます。探し物で言えば、買ったばかりのメガネをメガネケースに入れて部屋のどこかに置いたはずなのに、メガネケース自体が見つからない状態です。「メガネケースという手がかりさえ見つかれば!」という感じです。人もこれと一緒で、記憶を思い出すための手がかりを見つけなければ、嫌な記憶も思い出さずに済む、という理屈です。

もう一つは、②の「新しい記憶での上書き」は、記憶の上書きによりことで古い記憶が思い出せなくなる状態のことで、心理学では「干渉」または「消去」と呼びます。出来事を上書きする場合は干渉、感情・生理現象を上書きする場合は消去、という言葉を使います。上書きという言葉のとおり、パソコンであるデータと同じファイル名で別のデータを保存すると、古いデータは上書きされて消えてしまいますよね。これと同じ理屈です。

例えば、初めて梅干しを食べて「すっぱい」という経験をすると、梅干しを見ただけ唾液がでるようになります。でも何度も梅干しを食べているうちに次第に唾液は出なくなります。この場合生理現象の上書きである「消去」が起きているということです。つまり新しい体験を何度も繰り返すことで過去の体験の記憶を上書きするのです。

具体的な嫌な記憶のなくし方

魚を食おう

先ほどのシロクマ実験のとおり、嫌な記憶というのは脳が「未完了の注意事項」と認識しているがゆえに、逆に気になって繰り返し思い出してしまうのです。勉強で繰り返しやって暗記した数学の公式や英単語は「これで覚えた。間違えることはない」としっかり海馬で処理された記憶は大脳皮質に送られて「処理済み記憶」として必要な時以外は思い出さなくなるのですが、「あの公式の数字や英単語の意味なんだっけ?」と引っ掛かりのある記憶は繰り返し思い出されることになってしまいます。「未処理の記憶」と呼ばれるものです。

だから脳に「もう終わったことである」という処理済み記憶にしていくことが大切になります。記憶を処理して処理済み記憶にするには、海馬で新たな細胞が生まれ(神経新生)ればいいことが研究で明らかになっています。その具体的な方法の一つは、青魚を食べること。青魚にはDHA やEPA などのオメガ3脂肪酸が含まれていて、これが海馬の神経新生を高めると言われています。ということで1点目は魚、特に青魚のサバやアジを食べましょうということです。他に定期的な運動や日光浴なども神経新生を高めると言われているので、魚が苦手な人はこちらの方法も試しましょう。もちろん両方やればもっと良いです。

扁桃体に負荷をかける

嫌な記憶を思い出したあとに扁桃体に負荷をかけると、記憶が変わることが知られています。チョコレートを溶かして手作りチョコレートにするのと同じようなものです。元は同じチョコだけど型や混ぜた材料で違うチョコレートを作るのです。つまり嫌な記憶を思い出し、その後扁桃体に負荷をかけて記憶を上書きすることで、嫌な記憶を変えるというアプローチです。

有名なものとして、ケンブリッジ大学の認知神経科学の教授であるアンダーソン氏が推奨する「動機性忘却」という考え方があり①思考置換、②直接抑制という方法があります。

思考置換

この方法は、「検索手がかり」に対する脳の反応の仕方を変える方法です。

先ほど検索失敗で「記憶を思い出すための手がかりが見つからないと思い出せなくなる」と説明しました。このことは逆に言えば、嫌な記憶は何かしらの記憶の手がかりがあるから思い出せる、ということなのです。思考置換は、この「手がかり」に対して、別のポジティブなことを連想するように意識を集中する方法です。例えば、「学校」という単語を見るだけで思い出す「カッコつけすぎた派手な告白をして相手に引かれて撃沈した」という記憶を消したければ、「学校」から連想する良かった思い出を紙に書き出してそれを何度も意識的に読み返してみる、というやり方です。

直接抑制

この方法は、嫌な記憶が蘇ってくる毎に、ルーティン(あらかじめ決めた言葉をつぶやいたり、特定の動作をすること)によって、記憶内容と全然関係ないことをするものです。

例えば、嫌な記憶が蘇ったら「俺は飛べるんだ」と言ってみたり、「息を6秒止める」といった感じです。直接抑制をすることで、嫌な記憶が蘇って来ても「それに対処できる」という自信が付き、嫌な記憶が繰り返し蘇ることをストップできるという考え方です。言葉や行動そのものに意味はなくてもいいのですが、ある程度回数をこなして、自分にしっくりくるやり方を研究するといいですね。

まとめ(になるのかどうか…)

過去の嫌な体験を引きずってしまうというのは発達障害の方にありがちなことなんですよね。そもそも記憶する能力は動物の中でも人類が独自に進化させた能力で、他の猛獣と戦ったり逃げたりするときに未来を予測して危険を回避するという防衛本能なんだとか。記憶が抜けない人は防衛本能が高い人とも言えるわけです。

ただ、忘れようとする努力がかえって嫌な記憶を繰り返し思い出してしまうことにつながるってことを知っておくのも大事ですよね。記憶自体消し去ることはできないけど、思い出しづらくしたり、思い出してもそれほど嫌なものではないようにすることはできるので、試せそうなものがあればぜひお試しください。あと個人的な失敗談として、「これはやらない方がいい」ことをご紹介します。

性格を変える

性格を変えられるのは脳を交換するしかないですけど、それは人類史上成功した例はありませんし、できたとしてもそれはあなたではな別の人になってしまうわけですから。あなたが自分の性格を好きでも嫌いでも、あなたはあなたのままでいいのです。

あれこれ色んな方法を試す

記憶を消すのに一番大事なのは集中力です。私は様々な文献を読んでは試したり、そこから独自のやり方をアレンジしてみたのですが、かえって集中しずらくなりました。マインドフルネスの精神で今目の前にあること1つに集中するのが結果的に一番良い結果が出ました。

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