ADHDの生き方探し

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1.発達障害関連 4感想(本・映画・音楽など)

No.28(感想:本)発達障害と呼ばないで

投稿日:2020-06-03 更新日:

岡田尊司氏の書いた「発達障害と呼ばないで」を読んだ書評です。この本の構成は①発達障害は養育環境で決まる ②安定した愛着が大事 ③発達特性のある人の個性の伸ばし方、の3つです。なおこの本では愛着障害という言葉が頻出します。愛着障害とは、親などの特定の養育者との愛着形成がうまくいかないことで現れる困難の総称です。

1.発達障害は養育環境で決まる

他の発達障害本にない筆者の興味深い指摘は発達障害の発現は養育環境による部分が大きく、愛着障害が多く含まれているのではないか?との指摘です。筆者は発達障害は先進国の方が後進国よりも優位に発生率が高い点に着目し、知識階級と労働者階級の違いや親の出産時年齢も加味し様々な角度から考察したところ、それまで遺伝が要因とされてきた発達障害が養育の環境要因を受けている(=のではないかとの仮説を立て愛着障害と発達障害の関連性に注目し、実際は親の養育方針だけではなく経済・生活環境も影響していることを主張します。例えばアメリカで近年増えている発達障害者の内情を見ると、以下の事が判明します。
自閉症児の発症率が高いのは両親が社会経済的に恵まれた階層であり(晩婚化による高齢出産が影響している)→特に父親の年齢が高い場合ASDが生まれやすいというのはデンマーク、イスラエル、日本でも報告されています。
ADHDの発症率が高いのは貧困層である(親が教育や養育に十分な金や時間を割けない事が影響している)
更に筆者は、以下の点についても指摘し、は精神医学会で長年信じられてきた遺伝子説ではなく養育環境説に確信を持つようになります。
親の自責の念を軽減するためには養育環境より遺伝子説の方が都合が良かった(とはいえ養育環境でも自責の念は出そうではありますが)
とはいえ、遺伝子説を全く否定するのではなく、養育環境によって発達障害の発現が左右される(親が子供に対し共感を軽視した養育をすると行動の問題や親子関係の不安定が出やすい。特に神経質で不安が強い子や好奇心が高く衝動性が強い子)という説を示しています。

養育環境による発達障害の発現要因としては、①親の不在②虐待・ネグレクト③夫婦間の不和④離婚などによる養育者の交代⑤親の鬱状態、など子供にとっての心の安全基地が確保できないことを主な要因とし、これが心理的・情緒的な成長を妨げる愛着障害となり、脳の発達に生理学的なレベルで影響し発達障害と似たような症状(注意散漫・衝動性の強さ・多動)を引き起こしていると指摘します。ちなみに愛着障害であれば環境次第で脳の認知機能は高まるのでこれらの症状は改善するとのことです。

2.安定した愛着が大事

ここでまた愛着の話に戻りますが、オキシトシンシステムについての言及になります。愛着を左右するホルモン、オキシトシンは社会性・恋愛傾向・依存症/摂食障害リスクに影響を及ぼし、これが未発達だと自信<不安(内面的)信頼<不快(対人関係)になりやすいそうです。いわゆるネガティブな人(人に不寛容でイライラしやすい)や極端な人(0か100かの二択で柔軟性に欠ける)ほど未発達なケースが多いそうです。

(ここでの感想)近年発達障害の患者が増えているのは愛着障害との混同が多いのではないか?との指摘はまさにその通りなのではないか?と思います。専門家レベルでも愛着障害と発達障害の見極めが難しいとの事なので、WAISなどのIQ検査と医者との問診だけでなく、DNA検査や脳画像も使って発達障害が診断される時代が来てほしいです。自分もそうやって診断されたいので。あと、社会構造で上流階級にはASDが多く、貧困層にはADHDが多いという指摘をしつつも、発展途上国でADHDが少ないのはなぜか?についても考察していて、筆者の仮説は愛着障害が起きにくい(=安定した愛着が得られる)養育環境にあるとしています。貧しくても愛情にあふれた農村社会みたいなものをイメージしているのかもしれませんが、この辺の証拠も集めて深く突っ込んだ見解が欲しかったです。

3.発達特性のある人の個性の伸ばし方

ここでは発達障害を障害ではなく「非定型発達」と捉えて、平均的な発達の基準で考えずに自分の持ち味を活かして自信を持って生きていこう、という考え方をまとめています。具体的には非定型発達の人は以下の3つのタイプに分けられ、この才能を活かせる仕事や生き方を選べば自己肯定感を高くできると主張しています。
視覚空間型:映像や動作にかかわる情報を瞬時に理解できる(建築家・職人・運動選手
視覚言語型:文字言語など抽象的な概念を理解できる(学者・研究者や作家、広告企画
聴覚言語型:聞き取りや会話言語の処理能力が高い(アナウンサー・芸能人
視覚空間型の人は体を動かすような覚醒度の高い動作がないと刺激不足で飽きてしまう、文書や理論よりも実物を見せ行動で体験させるのが良い、等の指摘は参考になりました。逆に視覚言語型の人は理解が遅くても公式や知識を論理的に理解する事でメキメキと頭角を現すタイプが多く独学が合う人も多いんだそうです。

(ここでの感想)
また定型=正常、非定型=異常ではない。そもそも偏りがないと才能にならないとも言い切ってっているのがいいですね。ちなみにハワード・ガードナーの能力における7つの知能(言語、音楽、論理、空間、身体、内省、対人)この中から自分に合ったものを選びましょう、としているのも参考になりました。3つのタイプ別の聴覚言語の例がなかったのが残念でした。(自分このタイプなので)
(総評)
発達障害診断において診断基準で重視されてきた「遺伝一辺倒」に疑問を呈し、愛着をベースにした環境要因+遺伝を主張した点は価値のある本だと思います。欲を言えば話題が本の章をまたいであっちこっちに飛ぶので、その辺を整理してもらえると理解しやすいかなと。また3タイプ診断は才能を活かした生き方という点で参考になるのですが、有名人(ジョブズやビルゲイツ等)ではなく一般人の事例をもっと充実させてもらえると、普通の人でも社会で活躍するイメージが湧いて自信が持てると思いました。(とはいえ良い本です)

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