ADHDの生き方探し

得意な生き方を選んで一度きりの人生を充実させましょう。

4感想(本・映画・音楽など)

No.27(書評)片づけられない女たち

投稿日:2020-06-01 更新日:

今回は書評です。20年ほど前にサリ・ソルデン(自身がADD(注意欠如障害)でADDのカウンセリングをしてる)が書いた「片づけられない女たち」という本を今更読んだので書評を書きます。本ではADDという言葉が出ますが、これは現代ではADHD(注意欠如・多動症)という多動の要素も加わった疾患名になっています。ADHDの女性は男性に比べ、大人になるまで気づかれないことが割と多く、理由としては社会的に期待される女性像とADHD特性の行動を覆い隠すため、というのが筆者の主張ポイントです。

その1.ライフハック本ではない

まずこの本は重厚です。片付け上手になるためハウツー本でもなければ、女性の困りごとエッセイでもない。日常生活や学校・職場で困りまくるADHD女性が「あ、ワタシこういう事に困ってたんだ」「困りごとはこんな特性から生まれているんだ」と腹の底から納得できそうな本です(男の自分が言うのもなんですが)。またタイトルどおり女性特有の困りごとやシーンを想定したカテゴリ構成なのがいいです。
例えば①可視化しにくい(悪目立ちしないため症状が外部から見えにくい)②性別ロールモデル(女性は男性より気遣いや世話焼きが世間から求められる)③生理的視点(ホルモンバランスの変化による問題)があり、これらの結果として二次障害が発生する(鬱、依存症、人格障害など)という男性ADHD患者が感じる二次障害以上の苦しさとや辛さが女性にはあると感じました。ADHDというだけでも、整理整頓のできなさや忘れ物やミスの多さで、自己肯定感が下がりがちで普通の人よりはるかにエネルギーを消費するというのに…

その2.不注意事例が豊富

ADHD特性に関する説明も充実しています。①不注意②情報処理困難③活動レベルの低さについて女性の感情や女性が負担に感じる実務例を挙げての解説が分かりやすいです。
(感情例)
・とにかくもっとがんばろう~彼女たちの決意は固い。またしてもいつもと同じ方法で問題を解決しようとするが、やっぱり上手くいかずガックリと力が抜けてしまう。
・成功を目指すべきか?小さくおさまるべきか?~小さくおさまる案は日々の雑務に専念することになる。しかしこれは彼女たちが最も苦手とする分野である。無理をしながら成功を目指す案は自分の道に専念するが周囲に迷惑をかけてしまう。
(実務)
・家庭内の情報の一元管理
・家庭内の快適さ・魅力の維持
・家庭を代表した地域の付き合いの担当
・子供の生活管理
少し気になったのは、困りごとの背景にアメリカらしからぬ伝統的な結婚や女性の役割像が強く出ている点です(筆者の見解なんでしょうけど)。例えば家事育児は女性がするべきという当時の時代背景はあったかもしれませんが、困り疲れる女性に共感はするけれども、男性の家事育児参加を呼びかけるわけでもなく、ある意味筆者の諦め感的なものも感じました。

その3.診断に至るまでの経過

ADHD女性は男性に比べて、見過ごされがちだというのがこの本で一貫して主張されている点ですが、ここについても説明が充実しています。
・女性の生育過程(男児に比べ多動がない・知的に早熟・努力でカバーしがち)
・女性への社会的偏見(「女性だから難しい事はできない」等割り引かれた実力の評価)
・女性特有の回避行動(男性なら避けられない状況での人付き合いの制限・苦手な状況の回避)
・女性に多い鬱や幼児期虐待等他の精神疾患診断(ADHDではなくこっちだろうと診断される)
見過ごされた視点に気づくだけでなく、自分でできるADD診断の予備テスト(ソルデン式女性用ADD自己アセスメント)でチェックできるのも良い点です。これで発達障害の診断を受けようと思うようになった女性も多いのではないでしょうか。(ただ文字を読むのが苦手な特性持ちもいるので、本文での説明ではなくリスト方式にしてくれればもっとよかったのですが)
また診断の受け方(アメリカらしく医師だけでなくセラピストという選択肢も紹介)、医療従事者に会う時のコツ、役に立たない診断について書いてあるのも参考になります。

4.今後の生き方の方向付け

後半は障害受容・人生戦略・薬物療法といった障害とどう付き合っていくかの記述が参考になります。
・障害受容の5段階(否認→怒り→取引→落ち込み→受容)
・3つの見直し(生活設計の見直し、人間関係の見直し、自己イメージの見直し)
・薬物療法(女性特有の問題との関連性:月経前症候群、妊娠・出産、更年期といった人生周期における問題、摂食障害(痩身志向)や依存症(物質・行為)など)
人生戦略は、働き方との関連で参考になります。時間とエネルギーの配分を考えていかに働くか、人の頼まれ事にどこまで応え自分のすべき事をどう通すかが書かれています。あとは「私はこういう特性があるので、正確性が問われる業務より企画力やアイデアを求められる仕事をさせてください」と言える素地が職場にあるかどうかでしょうね。日本より自己主張しやすいアメリカだと上手くいく背景があるのかもしれませんが。

ついで話

数少ない楽しみの1つのボーナス時期。しかし嬉しいはずのボーナスも、ここ2年間はいい思い出がなくむしろしんどいことが多いというか。去年は休職明けで賞与算定期間にほとんど働いてなかったので最低評価でした。そして復職後の今年、日ごろミスりまくった事がどう評価されるのか?課長に一人ずつ別室に呼ばれます。自分の番が来ました。悪い方で考えておくか?くらいの気持ちで部屋に入りました。

「あなたの賞与ね…」

「はい」

「査定結果は3です。体調気をつけて今後の仕事も頑張ってください」

5段階中の3なので良くも悪くもない普通の成績です。ただ、ホッとしました。ただの3です。平均です。でも最悪を想定しての3は、ある意味5と同じ、とまでは言いませんがホッとしました。そんなことを考えた今日の査定結果でした。ここから少しずつ前進していきたいものです。

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