ADHDの生き方探し

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1.発達障害関連

No.26(発達)ストラテラ(怒りのホルモン)

投稿日:2020-06-01 更新日:

私はADHDの治療薬、ストラテラ(ジェネリック名称アトモキセチン)を飲んでいますが、この効果について書いてみたいと思います。

ストラテラの効果とは?

ストラテラは気が散りやすく集中できないADHDの集中力を高め、定型発達者(発達障害者以外)に近い状態にしてくれる効果があります。ストラテラは、ノルアドレナリン・トランスポーターに作用して、前頭前野でのノルアドレナリンの量を増やします。アトモキセチンは、コンサータのようにドーパミンに対する作用を持たないため、依存のリスクがない点で安全性が高い薬剤です。半減期が短いため、1日2回の服用が理想的ですが、1日1回の服用でも同等の効果を示すと報告されています。ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、怒りのホルモンとして脳や副腎髄質から放出されこれにより交感神経の活動が高まります。

ノルアドレナリンが出る→外敵から身を守る緊張状態に

1.基本的な効果(生体反応として)
例えば、危険を感じた時(つまりはストレス時)の反応として、ノルアドレナリンが分泌されます。その結果、血圧・心拍数が上がり、瞳孔が開きます。結果として身体のパフォーマンスの上がった状態で走るなど体が動かせるようになります。→これは人類がサルだった時代から外敵から身を守るために必要な行動として体にプログラムされた反応です。胃腸の動きは抑えられ(食べている状況ではないから)、痛みの感覚も弱まります。(多少ケガをしても逃げたり戦ったりしなければならないから)

2.ADHDへの効果:集中力や判断力に影響する
適度に分泌されることで、集中力が高まり学習能力と記憶力を増強されます(外敵から逃げる際の闘争経路を探すため)。判断力を刺激し想像力や実行する意欲を高めます(逃走経路や戦う敵の状態を判断し決定するため)。分泌が不足すると集中力、やる気が低下し、無気力・無関心が優位になり、うつ病に代表される症状が現れます。過剰に分泌されると興奮状態が高まり睡眠障害や怒りっぽい症状が出やすくなります。

3.その他の効果:血中遊離脂肪酸の増加
血圧が上昇すると共に、血中にはエネルギー源になる血中遊離脂肪酸が増加します(一説には長い時間逃げるためには一瞬で消える糖質だけではなく脂肪を中心としたエネルギーが必要になるため)脂肪燃焼がされ易い状態になります。ちなみに普通は20分掛けて有酸素運動を続けてやっと増える濃度まで血中遊離脂肪酸が増えるので有酸素運動の効果が増します。(とはいえ運動しなきゃ痩せませんが)

ストラテラがダイエットや勉強に使われていた時代があった

2019年から規制対象になってしまいましたが、アトモキセチンの効果を利用して、本来の用途ではなく「手軽に頭が良くなる薬」「やせ薬」として若者を中心とした定型発達者の人が服用し、健康を害するケースが増えてしまったのです。確かにストラテラを飲むと脳内のノルアドレナリンが増えて長期記憶や学習能力も高まるため、学習した内容を記憶するのに適していますし、ストレス耐性を上げてくれる効果もあるのでプレッシャーがかかる試験の場でも高い集中を維持しパフォーマンスを発揮できるという点で受験生にも人気があったようです。
また女性を中心とした「痩せたい」人たちにとっては、食欲が抑制され、味覚も鈍感になるため、痩せる効果もあったのです。食欲が減るのみならず、胃がむかつく・吐き気といった副作用もありダイエット効果はかなりあったと言われています(私もたまに空腹でストラテラ飲むと結構な吐き気します)

ノルアドレナリンを再吸収する受容体に問題のない普通の人がストラテラを服用するとどうなるのでしょうか?脳内がノルアドレナリンとアドレナリンで溢れ、常に興奮と緊張と集中が続く状態になります。そして怒りに支配されてキレやすくもなります。周りからの評価は「あの人怒りっぽい」「ストレス溜まってるのでは?」言と言われる状況になってしまいます。ADHDの人間は怒ってもその怒りは持続しないと言われています。それは性格のみならずノルアドレナリンの濃度が普通の人より薄い事も関係しているのでしょう。それを定型発達の人が飲んでしまうと…常にキレまくり状態&興奮しすぎで睡眠時間確保もままならなくなります。こうしてストラテラは厚労省より個人輸入の禁止対象になってしまったのです。過ぎたるは及ばざるがごとし。薬を自己判断で飲むのは気を付けましょう。(もう個人輸入はできないし、ここには定型発達の人はあまり見ていないと思いますが人から薬をもらって飲むのも止めましょうね)最後にストラテラや同じADHD薬として使われる他の薬の内分泌情報を載せます。

商品名 コンサータ ストラテラ インチュニブ
主成分 メチルフェニデート アトモキセチン グアンファシン
半減期 4時間 3.5時間 18時間
効果発現 服用後すぐ 6〜8週間 1〜2週間
依存性 可能性あり なし なし
副作用 食欲低下・不眠・体重減少 頭痛・食欲低下・眠気 眠気・血圧低下・頭痛

おまけ話:ストレス耐性を上げるにはノルアドレナリン以外も…

余談ですがノルアドレナリンで「怒る」力を上げてストレス耐性を上げる以外にオキシトシンというホルモンでもストレスを軽減することができます。ある実験では、オキシトシンを分泌させないように操作したマウスを観察したところ、ストレス過多になり暴れまわったり下痢が頻発しました。これは人間に見られる症状と同じです。一方、オキシトシンを注入したマウスにはそれらの症状が出ない。実験を行う中で、オキシトシンがストレスともなんらかの因果関係があることが近年の研究で明らかになっています。つまりオキシトシンの分泌量が多ければ、よりストレス状態に耐えられるということです。オキシトシンは女性が妊娠・出産した時に豊富に分泌されるとされていますが、妊娠していない女性や、男性が出す方法も研究が進んでいます。

一般的に人がストレス解消のためにやっていることで、目新しい情報ではないのですが、人が「ストレスのない状態」と思われるときの、オキシトシンの濃度変化を測定したところ、以下のような「五感を使って快適さを得る」状態ではオキシトシンの分泌が増えたそうです。(男女共に効果あり)
・美しいと感じる景色を眺める
・自分が好きな音楽を聴く
・自分が好きなものを食べる

そしてもう1つの方法は「他者との触れ合い」だそうです。同じ部屋に入れた2匹のマウスのうち、1匹を1日2時間、部屋から出して物理的に一定のストレスを与え元の部屋に戻すという実験をすると、残されていたマウスが戻ってきたマウスに寄り添う傾向が出たそうです。これは残されていたマウスがストレスを与えられたマウスに対して、介抱しようという気持ちが表れた結果であったと考えられます。この時のマウスのオキシトシンを免疫量を測定してみると、世話をしてもらったマウスはもちろん世話をしたマウスにもオキシトシンの分泌が見受けられたとのことです。
一方で、同じ部屋に入れた2匹のマウスのうちの1匹を部屋から出すだけでストレスを与えずに、そのまま元いた部屋に戻すという実験も行ったところ、残されていたマウスが戻ってきたマウスに寄り添う傾向は見られなかったそうです。そこからストレスを感じているときほど、生き物は交流によってオキシトシンは分泌されるのではないか、という考察が出ています。実際にあなたの近くに触れ合える人がいればベストですが、いない場合は人に「ありがとう」と感謝を伝えたり、親しい人と会話しながらご飯を食べる、お酒を飲みながら心許せる人に愚痴をこぼす事でもオキシトシン増加の効果は見られそうです。ストレスが溜まった時に人との交流がどれくらいあるかご自身を振り返ってみてはいかがでしょうか?

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