エフィカシー(自己能力感:自分の能力を信じる力)について前の記事で書きましたが、①エフィカシーの持ち方、②結果の捉え方についてお伝えしたいと思います。
エフィカシーの持ち方
先にエフィカシーを下げてしまう要因を説明します。それは「自分の実力はこの程度のものだ」という思い込みです。これは自分で思い込んでしまうものもありますが、他人から思わされてしまうものもあります。
例えば「いつもグズグズして。何をやらせても遅いんだから」と言われ続けると、「私はのろまな人間なのだ」と思い込んでしまい結局時間に間に合わないペースで作業をしてしまいます。また「あなたは不注意なんだから、車の運転に気をつけなさい」と一見心配しているような声かけも、本人に対しては「私はあわてん坊なのだ」と思い込ませて結果事故を起こしてしまうかもしれません。
こうして、「のろま」とか「あわてん坊」という低いエフィカシーが本人の中にでき上がり、実際そのように行動してしまうものなのです。なので人に注意をするときはエフィカシーを下げるような発言はNGです。
エフィカシーを低めない注意というのは「出発は9時だから8時30分にはカバンを用意して着替えておいてね」とか「交差点に入るときはサイドミラーを見てね」など本人が気付いていないことを気付かせることです。
それでも失敗したら「あなたらしくないね」と言ってあげるのがいいのです。それによって、「そうだ。私は本当はこんなことをする人ではない」とエフィカシーを高めることができるのです。責めたり怒るのはNGです。
これは自分自身に対しても同様です。例えばテストで100点を取りたかったのに60点しか取れなかったとしたら「自分らしくない」と思うようにするのです。逆にもし100点を取れたとしたら、「自分らしい」と思うようにします。
・目標達成から遠さかるようなことをしてしまったら「自分らしくない」
・目標達成に近付けたら「自分らしい」
と思うようにするのです。こうすることで、エフィカシーが高まり、目標達成に向けて自然に動けるようになるのです。
結果の捉え方
結果をどう受け止めるかの前に「失敗」とか「成功」とはいったい何なのかをじっくり考える点が重要です。近年のコーチング理論ではそもそも生きている限り「失敗」というものは存在しないと考えます。これは「目標不達成=人生の失敗」でもない代わりに、「目標達成=人生の成功」でもありません。人生とは数えきれない目標の連続と考えるのです。例えば「オリンビックで金メダルを取る」というゴールを設定した人がいたとします。「金メダル」というゴールは、人生の最終ゴールではないわけです。金メダルを取れた人も、取れなかった人も、オリンビックが終わったら次のゴ―ルを設定して、それに向かって生きていくはずです。もっと言えば一生現役でいることも無理です。競技人生を終え引退したらコーチになる、サラリーマンとして働くなど、別のゴールを設定して、それに向かって生きていくことになるはずです。今やっている事が終わったら次に何をするか?人生はそれくらい先回りして考えておくことが重要なのです。(目標の結果に一喜一憂ばかりしていつまでも次の行動に動けなければ、その人の人生は充実したものになると思いますか?)
ついで話
今回「トムソーヤの冒険」で有名なアメリカの文豪、マーク・トウェインの言葉から好きな言葉を紹介します。なるべく発達障害の特性に合いそうな言葉を紹介します。
1.世の中でやつほど我慢しにくいものはない。立派な手本というやつ。
自分のこだわりを抑えて決められた通り作業を進めるのが苦手な発達障害者に刺さる言葉です。守らなきゃいけない規律や常識って、発達障害のある人には大きなストレスなんですよね。マークトウェインもそう思っていたとは…手本に「立派な」という言葉を付けるあたりが、毒のある言い方で好きですね。
2.皆同じ考え方をしたからといって、それが一番いいことにはならない。
「皆が無難な考えしてたら良いものは生まれないだろ?」ということを彼は言いたかったのかもしれません。作家ならではの発想といった感じでしょうか。これはと言いたかったのではないでしょうか?自分の中から湧き出るアイデアを大事にしろってことですね。もちろんアイデア止まりにするのではなく、実行して皆に認められるレベルまで高めるところまでがゴールなのでしょうけど。
3.人生には2回だけ投機をしてはいけないときがある。1つは余裕がないとき。もう1つは余裕があるとき。
つまり余裕があろうとなかろうと、投機(イチかバチかの賭け)はしちゃだめよ、ってことを言いたいんですね。人間失敗するときって大抵、不安なときや、逆に気が大きくなったときですからね・・・私もよくやります。ちなみにこれに続く言葉で「金を節約するための簡単な規則」というのがあって、どうしても使いたくなったときは
・半分節約するときには、40数える
・3/4節約するときには、60数える
・全部節約するときには、65数える
というのがあります。とにかく数字をかぞえて頭を冷やせってやつですね。アンガーマネジメントの「怒りでカッとなっても6秒待て」と通じるものがありますね。お金の場合はもっと時間が伸びますが・・・(3/4と全部とで5しか違わないというのがミソですね)
4.習慣は習慣だ!だがそれは人が窓から放り投げるものではなく、根気よく一度に一段ずつ階段を下りさせるようなものである!
ADHDあるあるですが、やめられない習慣を一気に変えようとして失敗したり、再チャレンジする気がなくなってしまうことへの警告だと思いました。
ダイエットで例えるなら「間食は一切しない」(でも内心やる気満々)→ストレスが溜まる→反動で食べまくる
みたいな感じでしょうか?習慣は一気に変えるものではなく、段階的に小さなゴールを置いて、「とりあえずこれくらいまで食べてあとはガマンしよう。」→「ガマンした私エライ!次も我慢しようかな?」くらいにやるのが秘訣かな?と思いました。
5.悲しみは一人で味わうことができる。しかし喜びを味わうためには、誰かに手伝ってもらわねばならぬ。
深い・・・確かに1人で感じられる喜びもありますが、人と共有する喜びの方が人生において質が高いということですね。