認知とは?
皆さん買い物に行くときに牛乳、カボチャ、クッキーをメモがない状態でどうやって覚えますか?
頭の中に写真のように物の形を映像で焼き付けてして、店で思い出しますか?それとも「牛角(ぎゅうにゅう・かぼちゃ・くっきー」みたいにゴロのよい音で覚えますか?それとも「カボチャを割ったらクッキーと牛乳が出てきた」みたいなストーリーにして覚えますか?
今日は認知について説明したいと思います。認知というのは「~について知る」という意味で使われますが、今回使う認知はもう少し広い意味で外界(世の中)の情報を知るという意味です。五感って言葉を聞いたことありますか?視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚です。これに人間特有の「言語」を加えた6つの認知で私たちは外界の情報を知ると言ってよいでしょう。
発達障害の人はこの中でも読み、書き、考える、といったコミュニケーション能力に直結する①視覚②聴覚③言語の得意不得意を知ると、ストレスを減らせるかもしれないというお話を今回はしたいと思います。
・顔は覚えられるのに名前が覚えられない→視覚優位者
・セリフの暗記はできるのに、顔が覚えられない→言語優位者
・歌詞は覚えられるのに、セリフの暗記ができない→→聴覚優位者
上は発達障害者の中でも結構ありがちな困りごとです。まず手始めにこのテストをやってみてください。
結果はいかがでしたか?
上記のように定型発達者はほぼ中央のグレー(平均ゾーン)の中で収まっているのに対し、ADHDの人はある分野ではグレーを大きく上回るものの、ある分野では平均を下回る傾向があります。
六角形の中で一番高い数字において以下のようなタイプ分けができます。
タイプ | 優位な認知 | 特徴 | |
1 | 写真(カメラアイ) | 視覚 | 頭の中にカメラを持っていて、そのカメラで見たまま覚える。写真家や画家、デザイナーに多い |
2 | 三次元映像(3D) | 視覚 | 映像に特徴を付けたり図式や地図への置き換えて覚える。建築家やパイロット、外科医に多い |
3 | 言語映像(ファンタジ-) | 言語 | 言語を映像化、逆に映像を言語化して覚える。コピーライターや作家、雑誌編集者、作詞家に多い |
4 | 言語抽象(辞書) | 言語 | 言葉に文字・数字を付して図式化して覚える。内科医や作家、教師、金融関係に多い |
5 | 聴覚言語(ラジオ) | 聴覚 | 音を即言語に変換して覚える。弁護士、落語家、アナウンサー、俳優に多い |
6 | 聴覚&音(音楽家) | 聴覚 | 音そのもの(音階や声色など言語外の意味も理解)で覚える。音楽家、声優に多い |
皆さんはどのタイプでしたか?私は4と5の混合型ですが、ADHDのライフハックの参加者では1や2が多いですね。視覚認知が得意な方もいますが、聴覚認知が弱いという方が多いイメージです。私はアファンタジアなので視覚認知は悲しいくらい弱いですね。いずれにせよ発達障害の方はこの認知においての凸凹がはっきりしているのが特徴です。
自分の認知の活かし方
自分の認知パターンが分かったら、認知特性を仕事やコミュニケーションで活かしていきましょう。例えば言語/聴覚タイプの私は議事録を作成したり議論の内容をノートにまとめたり、それを話すのが得意です。1~3の人は図や絵を使って表現する伝え方がよいでしょう。また仕事も映像表現を活かせる職業が向いているはずです。
同時に留意点も分かります。視覚優位の人は物事を映像で思考・記憶するので、情報を処理するスピード自体は速いのですが、聞いたり話しながら理解するのは苦手で長い会話になると理解が途中から追い付かなくなります。この点に気を使って会話を適度に切りながらコミュニケーションすることが大切です。
聴覚優位の人は耳に入った情報を素早くキャッチでき会話上のコミュニケーションは得意ですが、複雑な内容を概念や関係性で理解することが苦手で、大量の文字情報を覚えるのにも音読や黙読で覚えるので視覚優位の人よりも時間がかかります。人の顔を覚えるのも得意ではないので初対面では名札を使うなどの配慮も必要です。
程度の差はあるものの、定型発達の人にも認知の得意不得意があります。つまり認知の凸凹があることが自然なことなのです。なので「自分が~の認知が弱い」と委縮するのではなく、「自分はこれが強いんだ」と得意な認知分野をフル活用して物事を考え、伝え、表現していきましょう。人と違うところにこそ、その人らしさがあるのです。