皆さん買い物に行くときに牛乳、カボチャ、クッキーをメモがない状態でどうやって覚えますか?頭の中に写真のように映像でイメージして覚えますか?それとも「牛角(ぎゅうにゅう・かぼちゃ・くっきー」みたいにゴロのよい音で覚えますか?それとも「カボチャを割ったらクッキーと牛乳が出てきた」みたいなストーリーにして覚えますか?
今日は認知について説明したいと思います。認知というのは「~について知る」という意味で使われますが、今回使う認知は外界(世の中)の情報を知るための手段という意味で、人が認知・理解をするときには、それぞれ自分の得意とする感覚を使うのです。端的にいうと
・視覚→目から入る情報で物事を理解する
・聴覚→音や話言葉で物事を理解する
・言語→言語で物事を理解する
ということです。特に発達障害の人は①視覚②聴覚③言語の得意不得意を知ると、ストレスを減らせるかもしれないというお話です。定型発達の人は視覚、聴覚、言語で得意不得意はあってもある程度まんべんなく使えるのですが、発達障害者になると
・顔は覚えられるのに名前が覚えられない
・セリフの暗記はできるのに、顔が覚えられない
・歌詞は覚えられるのに、セリフの暗記ができない
といった困りごとが結構ありがちです。この認知特性を知るためにこのテスト(本田35式認知特性テスト)をやってみてください。(無料です)
結果はいかがでしたか?
上記のように定型発達者はほぼ中央のグレー(平均ゾーン)の中で収まっているのに対し、ADHDの人はある分野ではグレーを大きく上回るものの、ある分野では平均を下回る傾向があります。
六角形の中で一番高い数字において以下のようなタイプ分けができます。
タイプ | 優位な認知 | 特徴 | |
1 | 写真(カメラアイ) | 視覚 | 頭の中にカメラを持っていて、そのカメラで見たまま覚える。写真家や画家、デザイナーに多い |
2 | 三次元映像(3D) | 視覚 | 映像に特徴を付けたり図式や地図への置き換えて覚える。建築家やパイロット、外科医に多い |
3 | 言語映像(ファンタジ-) | 言語 | 言語を映像化、逆に映像を言語化して覚える。コピーライターや作家、雑誌編集者、作詞家に多い |
4 | 言語抽象(辞書) | 言語 | 言葉に文字・数字を付して図式化して覚える。内科医や作家、教師、金融関係に多い |
5 | 聴覚言語(ラジオ) | 聴覚 | 音を即言語に変換して覚える。弁護士、落語家、アナウンサー、俳優に多い |
6 | 聴覚&音(音楽家) | 聴覚 | 音そのもの(音階や声色など言語外の意味も理解)で覚える。音楽家、声優に多い |
皆さんはどのタイプでしたか?私は4と5の混合型ですが、ADHDのライフハックの参加者では1や2が多いですね。視覚認知が得意な方もいますが、聴覚認知が弱いという方が多いイメージです。私はアファンタジアなので視覚認知は悲しいくらい弱いですね。いずれにせよ発達障害の方はこの認知においての凸凹がはっきりしているのが特徴です。
自分の認知の活かし方
自分の認知パターンが分かったら、認知特性を仕事やコミュニケーションで活かしていきましょう。例えば言語/聴覚タイプの私は議事録を作成したり議論の内容をノートにまとめたり、それを話すのが得意です。1~3の人は図や絵を使って表現する伝え方がよいでしょう。また仕事も映像表現を活かせる職業が向いているはずです。
同時に留意点も分かります。
視覚優位の人は物事を映像で思考・記憶するので、情報を処理するスピード自体は速いのですが、聞いたり話しながら理解するのは苦手で長い会話になると理解が途中から追い付かなくなります。この点に気を使って会話を適度に切りながらコミュニケーションすることが大切です。
聴覚優位の人は耳に入った情報を素早くキャッチでき会話上のコミュニケーションは得意ですが、複雑な内容を概念や関係性で理解することが苦手で、大量の文字情報を覚えるのにも音読や黙読で覚えるので視覚優位の人よりも時間がかかります。人の顔を覚えるのも得意ではないので初対面では名札を使うなどの配慮も必要です。
言語優位の人は基本的に視覚や聴覚に優位があり+αで言語も優位、という人が多く言語だけが突出して良い人は稀です。言語を文字として認識するか(視覚優位の言語抽象タイプ)、音として認識するか(聴覚優位で聴覚言語タイプ)で言語を理解するかの違いです。
なお定型発達の人にも認知の得意不得意があります。つまり認知の凸凹があることが自然なことなのです。なので「自分が~の認知が弱い」と委縮するのではなく、「自分はこれが強いんだ」と得意な認知分野をフル活用して物事を考え、伝え、表現していきましょう。人と違うところにこそ、その人らしさがあるしそこに合わせた意思疎通の方法があるのだと思います。
「私ってこういう人間なんだ。当たってるなぁ」だけで終わらせず、
例えば、聴覚認知が弱い(聞いたことををすぐ忘れる)という失敗を、繰り返しているなら、今後は忘れないように聞いたらすぐノートやふせんに書く習慣を身につけて、その要件が終わるまで、取っておいたりパソコン周りに貼る等の工夫をする、または口頭よりもメール指示を上司や同僚にお願いすることで特性を活かせると思うんですよね。