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1発達障害

No.3障害年金について

投稿日:2020-04-14 更新日:

今回は年金について書いてみようと思います。発達障害者の方々の悩みに「コミュニケーションがうまくいかず仕事が長続きしない」「パワハラ・モラハラに耐えているうちに朝起きれなくなり出勤できなくなった」など仕事関連は一定あります。

発達障害または発達障害に由来する困り事での二次障害を原因となり、働けないほど身体・精神状態が悪化したときに「障害年金」という福祉制度があるのをご存じでしょうか?この記事では、発達障害の場合にどのような状態になったら障害年金を受給できるのかについて解説しようと思います。

目次

障害年金とは
障害年金を受給するための3つの条件
障害年金を受給できる状態とは~障害認定基準~
等級判定ガイドライン
申請時に必要なもの
働いたら障害年金は止まる?

障害年金とは?

障害年金とはどんな年金かご存知でしょうか?

年金で一番最初に思い浮かぶのは原則65歳から受給できる「老齢年金」と、 被保険者が亡くなった際に遺族(配偶者または子供)に支払われる「遺族年金」が一般的に知られていますが、 病気やケガで生活や仕事などが制限される場合、受け取ることができる国の公的な年金が「障害年金」です。

内閣府の障害者白書によると、20歳以上65歳未満で障害がある人は約300万人います。身体障害、知的障害の方もいますが、割合で一番多いのは精神障害で約170万人います。 障碍者全体の中で障害年金を受給されている方は全体の何割ほどだと思いますか?実は6割に満たないといわれています。なぜでしょうか?それは年金受給のハードルが複雑だからなんです。

障害年金を受給するための3つの条件

障害年金を受給するためには、重要な3つの条件があります。

要件①初診日において被保険者であること(初診日要件)

障害の初診日において、国民年金、厚生年金、旧共済年金の被保険者であることが条件になります。

・国民年金・・・20〜60歳の国民年金被保険者(60〜64歳は国内在住が対象)
・厚生年金・・・社会保険加入者

また、その初診日を医療機関から発行される書類等を用いて証明できることも条件です。初診日が古い場合には、カルテやデータの廃棄により証明をしてもらえない場合もあり得ます。

要件②初診日の前日までに年金保険料を一定以上納付していること(保険料納付要件)

障害の初診日の前日において、20歳から初診日のある月の前々月までの全期間のうち3分の2以上を納付または免除していることが必要です。ただし、これを満たさない場合は、初診日の前々月から前1年間に未納がないことが条件になります。(令和8年3月31日まで有効)なお初診日が20歳未満の方は、納付要件は問われません。

保険料納付要件の確認において「納付が1か月」とカウントされるためには、初診日の前日までに保険料を納める必要があり、免除に関しても、初診日の前日までに保険料の納付免除申請を行っている必要があります

自分の納付状況に関して確認したい場合は、近くの年金事務所で確認できるので相談ましょう(特に住所による管轄はないので、年金手帳を持っていけばどこでもOKです)

要件③障害の状態が障害認定基準に該当していること(障害状態要件)

初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)もしくは、それ以降の障害年金請求日において、国が定める障害認定基準に該当することが条件です。この認定日をもとに医師に診断書を書いてもらうので認定日の自分の状態をどうアピールするかが年金をもらえるかどうかのカギになります。

障害年金を受給できる状態とは~障害認定基準~

発達障害の場合、どのような状態になったときに障害年金がもらえるのかについて解説します。まずは対象となる傷病名を確認すると・・・

<発達障害>
自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

次に発達障害による障害の程度の目安を確認します。1級~3級まであり1級が一番障害の度合いが重いことになります。

1級

発達障害があり、性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
→「コミュニケーション能力欠如」で「日常生活で常時援助」だからかなり重いですね。 😐

2級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
→2級は1級に比べやや程度が軽いですが、それでも「日常生活では援助が必要」なんですね 😐

3級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの(3級は、初診日時点で厚生年金の加入者のみが対象)
→3級になると、には1-2級になかった「労働」という言葉が出てきます。これは働きながらでも年金が貰えることの裏返しです

等級判定ガイドライン

ガイドラインによる等級付け

平成28年9月からは「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」(→リンク先に飛ぶのでクリック)が審査に適用されています。あくまでも精神の障害の原因や症状、治療や病態の経過などを総合的に判断されるため、必ずしも以下の表通りの等級になるわけではありません。

<表の見方>(診断書の様式はこちら

発達障害での認定の難しさと注意点

発達障害で障害年金を請求する場合の難しいのは、同じ病名を診断されていても人それぞれに症状の程度、日常生活・就労への影響の大きさが違ってくる点にあります。
→障害年金の申請はただ「出せばいい」わけではなく、アピール力がものを言います。
障害年金申請をする人は結構な割合で社会保険労務士(以下社労士といいます)の援助を受けて申請します。彼らはアピールの仕方をよく知っています。
例えば、診断書には以下の項目があります。ここをどう書くかで年金が認められるか否かが決まるわけですが、うまく書かないと「この程度だったら障害年金は必要ないだろう」と見なされて申請が却下されてしまうわけです。無策で診断書を書いてもらうよりは、診断の中で障害認定のポイントとなる点を強調して医師に伝えることが必要になるわけです。社労士は申請者の相談を聞きながら「じゃあこういうことを医師に伝えて診断書を書いてもらってください」というようなメモを作ってくれます。これが結構年金申請においては大事らしいんですよね。。。

大事なので三行に分けます。
・自分の困難さがどれほどか(どんな障害があるかではないのです)
・客観的に(自分がどう思うかは思い切って関係ないと言い切ります)
・役所が認める形で必要書類の有無は大前提ですが、記載内容も含めて)

申請して、やっと貰えるのが障害年金なのです。

ちなみに社労士の報酬は年金受給が決定した時にその額の1割-2割が相場らしいです。
これを高いとみるか低いとみるかですが、彼らは基本成功報酬制でやっているので、何としても受給されるよう知恵の限りを尽くしてくれるでしょう。割のいい保険かもしれません。


社労士と会う時間も金もない私は独力でやる予定ですが 😎

申請時に必要なもの

障害年金の申請には原則、以下の書類の提出が必要となります。

1.初診日の証明書類(受診状況等証明書)→初めてかかった医療機関が作成する
2.診断書→現在診療している医師が作成する
3.病歴就労状況等申立書→請求者自身が作る

書類作成の際に覚えておくべきポイントです。

障害年金は先ほどのガイドラインで示したとおり、「程度」と「判定平均」という2つの数値を使うことで審査されるのですが、この数値だけをもとに等級が決まるわけではないんです。
じゃあ何で判断するのかというと、診断書と病歴就労状況等申立書です。
なかでも診断書は重要で、これをもとにほぼ審査が決まるのです。まずこれで「大体この人は~級だな」くらいの決定がなされる。
次に「この人は微妙だな。1級と2級どっちにしようか?」もしくは「2級と3級どっち?」みたいなときは病歴就労状況等申立書を加味して、どちらの等級にふさわしいかを判定したりもっと言えば「ギリギリ3級or障害年金がもらえない」を分けるみたいです。

社労士は診断書の重要性をよく知っていますから、患者が病院で診断書を書いてもらうお願いをする前に「年金の受給可能性が高い診断書を書いてもらうために、こんな書類を用意しましょう。それを医師に渡してくださいね」みたいなアドバイスをするわけです。

①発達障害の初診日には注意が必要。

発達障害の初診日は、知的障害を伴っているかどうかで変わります。
・知的障害を伴っている初診日は「生まれた日」
知的障害を伴わない初診日は「初めて受診した日」→ あなたが知的障害を伴わず発達障害の診断を受けた場合は日常生活や仕事の困りごとで病院に行って初めて障害年金がもらえる基準の日が決まるわけです。

②発達障害を診断される以前に精神疾患の診断を受けている場合

発達障害で障害年金を申請する場合に多いのが、発達障害を診断される以前に精神疾患の診断を受けているパターンです。発達障害の場合、多くの人は学校や職場で対人関係で精神的な支障きたして病院に行き、診察の結果発達障害の診断を受けています。この場合、精神疾患(例えば適応障害など)と発達障害が同一傷病と判断されて「精神疾患の初診日=発達障害の初診日」と判断されます。これが障害年金をいつからもらえるかの日付になります。

ただし、最初の精神疾患による通院から5年以上が経過すると社会的治癒と呼ばれる寛解(かんかい)の状態になる場合があります。この状態から再度精神疾患にかかって発達障害の診断を受けた場合、いつを初診日とするか「5年以上前の日か、最初に病院に行った日か、が難しくなります)。

そのため、精神疾患で医療機関を転々とした後に発達障害が判明したという方は、精神疾患で初めて医療機関に受診した日を証明できるかどうかが鍵になるのです。

精神疾患の初診日から、カルテの保管義務期間である5年間を経過している場合には、初診日の証明がしてもらえない(=受診状況等証明書が作成できない)可能性もある(特に電子カルテの標準様式が導入された2013年以前の場合)。その場合、障害年金を受給できない可能性が高くなる。(一応なかったという証明を付けて申請自体はできることになってはいるが。)

③日常生活の困りごとや支障を普段から主治医に伝えておく

発達障害で障害年金を申請する場合、日常生活や労働にどれほどの支障や制限をきたしているかという点が審査で重視されます。さきほど示した診断書にも、「食事」「清潔保持」「金銭管理」など能力を数値化し、等級判定の重要な判断材料として使用しているのがわかりますよね。

ただ医師は常に患者と一緒に生活をしてその生活状況を見ているわけではないので、食事をきちんととれているのか、身だしなみや掃除、金銭管理はきちんとできているのか、などの日常生活能力については、患者本人が医師に正確に伝えていく必要があるんです。(診断書を依頼する前から、この辺の困りごとをアピールすることが重要になるわけですね)

もし、説明が苦手でうまく話せないということでお困りならば、家族同行で受診をしたり、日常生活で困ったことをメモしておいて医師に渡したり、という手段できちんと伝えておくことが大切です。

ただし、真実だけを伝えること。この点は必ず守りましょう。事実をねじ曲げたお願いは医師との信頼関係を壊します。(年金申請に限った話ではなく、その後の診療においてもです)医師だってそんな不正をおこなえば医師としての活動ができなくなります。患者が困っているからといって何でもやってくれるわけではありません。

④病歴就労状況等申立書は丁寧に作りこむ

診断書の次に大事な病歴就労状況等申立書を作成するときのポイントは以下のとおりです。

1)0歳から記入する。

発達障害の場合、病歴就労状況等申立書は0歳から記入します。覚えているかどうかは関係ありません。発達障害と関連した受診がない場合でもどんな様子だったかを記入する必要があります。
発達障害はある日突然なるものではないので、大体エピソードの1つや2つありますよね。例えば、物をなくす、忘れる、ルールを無視してケガする(友達より以上に高い頻度で)

原則5年区切りで書くことがルールとなっておりますので、小学校は1~3年生と4~6年生で分ける等の対応が必要になりますよ。

2)日常生活における支障・困っていることを詳細に書く。

日常生活・仕事上のどのようなことで困っているのかを詳しく記載するとよいでしょう。家族やヘルパーさんからサポートを受けているのであれば、その内容や頻度などを書きましょう。(そういう恵まれた環境にいる人は中々いないのですが)障害者雇用等で働いている方に関しては、仕事上の配慮(就労の精神的な負担を減らすための簡易業務への配置、あなたへの指示の出し方の工夫など)を書くとよいでしょう

3)最も重要なのは診断書との整合性

最後に診断書との整合性です。
たとえば、診断書に記載のない症状を病歴就労状況等申立書の中に書くとどうなるか?おそらく役所のチェックに引っかかってしまうでしょう。そして書いた内容は審査には反映されないでしょう。そして障害年金を出すべきかどうか?というギリギリの判定のときに出ないほうにジャッジされる可能性もあります。診断書の内容と病歴就労状況等申立書の内容を照らし合わせて、確認する必要があるのです。そうならないためにも社労士や診断書を作成した医師に相談したほうがいいでしょうね。

働いたら障害年金は止まる?

ガイドラインの認定基準

ガイドラインには以下の記載があります。

就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断する。

この箇所を読むと、働いたからといってすぐに障害年金を止められることはないと読めます。(援助や配慮のもとで労働をしていることが前提)
もしあなたが就労支援や障害者雇用で就労している状態で障害年金を請求する場合には、
①労働の種類が就労支援や障害者雇用であることor職場で援助や配慮を受けていること
②その内容を日頃から主治医に伝え、診断書にきちんと反映してもらうこと
が重要になるんですね。

私自身がこれから障害年金を申請する立場なので、この記事を書きながら、書類をチェックしたり、申立書を書き直したり、いろいろ勉強になっています。

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